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BGM考

声について学ぶにつれ、声だけでなく「音」についても気になるようになった。

 

数年前の夏、大阪の帝国ホテルに宿泊する機会があった。

ホテルは「お湯が出て、幽霊が出なければOK」な私にすれば、かなりの贅沢だ。

贅沢ついでに、名前だけは聞いていた「IMPERIAL BAR」へ行ってみた。

 

お店の前に来たけれど、どうにも開店している様子がない。

『ホテルのバーが夜8時で開いていないなんて…』と、チラリと中を覗くと

品の良い笑顔と抑えた声で「いらっしゃいませ」と迎えられ、カウンター席へ。

ところが、場違いなところにきてしまった…そんな気持ちがしたのだ。

 

私のほかに、4~5名の男性客がいるが、悪だくみをしているかのようなヒソヒソ

声で時折笑い声が漏れる。 なんというか、お尻が落ち着かない感じがする。

その時に気が付いた。『BGMがない』 あまりにも静かすぎるのだ。

「なぜBGMがないのですか?」と尋ねると、カウンターの中の男性は

「おっ、気づきましたか!」というように、片眉を上げて、笑顔で答えてくれた。

「バーには、バーの音がございます、お酒を注ぐ音、氷が溶けて、カランとたてる音、シェーカーをふる音…そんなバーの音を、お客様に楽しんでいただきたいので、当店ではBGMを流さないのです」   さすが皇帝!

その答えを聞いた途端、居心地の悪さは吹っ飛び、安らげるようになった。

 

そういえばスターバックスカフェも、スチーマーの音や、コーヒー豆の音などなど

カフェの音も楽しめるようにと、BGMは流しているが、音量は低くしていると

何かの本で読んだことがある。

 

音や香りや温度。人は、「なんとなく」心地よくもなれば、「なんとなく」イヤにもなる。

理由をきかれても「いや、なんとなく」で、選択したり行動したりすることがあるはずだ。

この「なんとなく」を制すれば、仕事もうまくいくんだろうな…

なんてことを考えているうちに、「なんとなく」酔いが回ってきたので、

バーを後にしたのでした。

 

 

 

 

 

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